第一次世界大戦とは?原因・総力戦・戦後秩序をわかりやすく解説

第一次世界大戦とは?原因・総力戦・戦後秩序をわかりやすく解説
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第一次世界大戦は、サライェヴォ事件という一つの暗殺から始まり、4年で世界を変えた戦争です。入試の核心は開戦の経緯ではなく、「総力戦になったことで、社会そのものが作り変えられた」という点。女性参政権も社会主義国家も、この戦争が生みました。

原因 — なぜ一発の銃弾が世界大戦になったのか

一言でいうと1914〜18年、三国同盟側(同盟国)と三国協商側(連合国)を軸に、ヨーロッパ全土と世界に広がった戦争。総力戦となり、戦死者は約1000万人に達した。

① 対立の構図 — 2つの同盟

陣営 中心国 背景
三国同盟(同盟国) ドイツ・オーストリア・イタリア ビスマルク外交でフランスを孤立させる体制。イタリアは領土問題から連合国側で参戦
三国協商(連合国) イギリス・フランス・ロシア ドイツの3B政策と海軍増強に対抗し、イギリスが「光栄ある孤立」を捨てて結んだ

ビスマルクはフランスの孤立を維持していましたが、ヴィルヘルム2世が彼を辞めさせ、「世界政策」へ転換します。ロシアとの再保障条約を更新しなかったため、ロシアがフランスに接近し、包囲網が形成されました。

② 火薬庫バルカン

オスマン帝国の衰退で生じた勢力の空白に、ロシアのパン=スラヴ主義ドイツ・オーストリアのパン=ゲルマン主義が衝突しました。1914年6月、オーストリア皇位継承者夫妻がセルビア人青年に暗殺されるサライェヴォ事件が起こります。

「暗殺が原因」ではないサライェヴォ事件は引き金にすぎません。①同盟体制の連鎖 ②帝国主義的な対立 ③バルカンの民族問題 ④軍拡競争という4つの構造がすでにあり、どこかで爆発する状態でした。論述では構造を主軸に書いてください。

総力戦 — 戦争が社会を作り変える

当初は短期決戦が予想されましたが、西部戦線は塹壕戦となり膠着します。機関銃・毒ガス・戦車・航空機・潜水艦(Uボート)といった新兵器が投入され、消耗戦が続きました。

一言でいうと総力戦とは、軍隊だけでなく国家の人的・物的・精神的資源のすべてを動員して戦う戦争のこと。第一次世界大戦で初めて本格的に現れた。
  1. 経済の国家統制 — 生産・物資・労働力を政府が管理する戦時統制経済が敷かれた。
  2. 女性の社会進出 — 男性が出征したため女性が工場や職場に進出。戦後、イギリス・ドイツ・アメリカなどで女性参政権が実現した。
  3. 植民地の動員 — インドやアフリカから兵士・労働力が動員され、その見返りに自治が期待された。戦後にこれが裏切られ、民族運動が高揚する。
  4. 国民統合の強化 — プロパガンダによって国民意識が高められた。
  5. 労働者の地位向上 — 労働力が不可欠となり、労働組合の発言力が増した。
論述の鉄板「第一次世界大戦が社会に与えた影響」では、女性参政権・労働者の地位向上・植民地の民族運動・国家による経済統制の4点を挙げるのが定石です。いずれも総力戦だったことが原因という因果でつなげてください。

1917年、ドイツの無制限潜水艦作戦を機にアメリカが参戦します。同年ロシア革命が起こり、ソヴィエト政権はブレスト=リトフスク条約で単独講和して戦線を離脱しました。物量に勝る連合国が優位に立ち、1918年にドイツでキール軍港の水兵反乱からドイツ革命が起こって帝政が崩壊、休戦となります。

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戦後秩序 — ヴェルサイユ体制とその弱点

1919年のパリ講和会議は、アメリカ大統領ウィルソン十四カ条を理念的な出発点としましたが、実際には戦勝国の利害が優先されました。

内容 詳細
ヴェルサイユ条約 ドイツは全植民地を失い、アルザス・ロレーヌをフランスへ返還、軍備を制限され、巨額の賠償金を課された
国際連盟 史上初の国際平和機構。ただし提唱国アメリカが不参加、ソ連とドイツも当初除外、全会一致制軍事的制裁手段の欠如という弱点を抱えた
民族自決 東欧に多くの独立国が生まれたが、適用されたのはヨーロッパのみで、アジア・アフリカの植民地には及ばなかった
委任統治 旧ドイツ領・オスマン領は戦勝国の委任統治領となった=事実上の植民地の再分配
ヴェルサイユ体制の3つの弱点①ドイツへの過酷な賠償が経済混乱とナチスの台頭を招いた ②アメリカ不参加とソ連の排除で国際連盟が機能不全 ③民族自決が非ヨーロッパに適用されず、民族運動の火種を残した。この3点が、20年後の第二次世界大戦につながります。

アジアでは、期待を裏切られた反発から民族運動が高揚しました。中国の五・四運動朝鮮の三・一独立運動インドのガンディーによる非暴力・不服従運動が代表例です。第一次世界大戦はアジアの民族運動の転換点でもあったという視点は論述で重要です。

入試で狙われるポイント総覧

  • 開戦の引き金はサライェヴォ事件(1914年)だが、原因は同盟体制・帝国主義・バルカン問題・軍拡
  • イタリアは三国同盟の一員だったが、連合国側で参戦(未回収のイタリア問題)
  • アメリカの参戦は1917年、きっかけは無制限潜水艦作戦
  • ロシアはブレスト=リトフスク条約で単独講和し戦線離脱
  • 総力戦の結果、女性参政権・労働者の地位向上・植民地の民族運動が進んだ
  • ヴェルサイユ条約国際連盟アメリカ不参加
  • 民族自決は東欧のみに適用され、アジア・アフリカには及ばなかった
共通テストでの出方「イタリアは同盟国側で参戦した」は誤り。「アメリカは開戦当初から参戦した」も誤り(1917年)。「国際連盟にはアメリカが加盟した」も誤り(上院が批准を拒否)。この3つは毎年のように出ます。日本世界史塾では、20世紀の国際秩序を1枚の年表にして、条約と機構の対応関係を確認します。
この記事の一問一答(確認テスト)
Q1. 第一次世界大戦の引き金となった1914年の事件は。
A. サライェヴォ事件
Q2. 三国同盟の一員でありながら連合国側で参戦した国は。
A. イタリア
Q3. アメリカが参戦するきっかけとなったドイツの作戦は。
A. 無制限潜水艦作戦
Q4. ロシアが単独講和した条約は。
A. ブレスト=リトフスク条約
Q5. ウィルソンが示した戦後構想を何というか。
A. 十四カ条
Q6. 国際連盟の弱点を3つ挙げよ。
A. アメリカの不参加・全会一致制・軍事的制裁手段の欠如

よくある質問

第一次世界大戦の原因は暗殺事件ですか?
サライェヴォ事件は引き金にすぎません。同盟体制の連鎖・帝国主義的対立・バルカンの民族問題・軍拡競争という構造が背景にあり、論述ではこちらを主軸に書きます。
総力戦とは何ですか?
軍隊だけでなく国家の人的・物的・精神的資源をすべて動員して戦う戦争です。その結果、女性の社会進出や労働者の地位向上、国家による経済統制といった社会の変化が生じました。
なぜ女性参政権が戦後に実現したのですか?
男性が出征したため女性が工場や職場を支えたことで、社会的な発言力が高まったからです。総力戦が社会構造を変えた代表例として問われます。
ヴェルサイユ体制の問題点は何ですか?
ドイツへの過酷な賠償アメリカ不参加による国際連盟の機能不全民族自決が非ヨーロッパに適用されなかったことの3点です。これらが第二次世界大戦の遠因となりました。
この記事について

世界史専門オンライン塾「日本世界史塾」の編集部が、入試での問われ方を基準に作成しています。当塾では次の講師が指導にあたっています。

藤原 進之介日本世界史塾 代表/株式会社数強塾 代表数強塾グループ創業者。東進最年少講師、代々木ゼミナールの日本初となる情報Ⅰ講師を務め、著書は9冊。累計2,500名以上の指導と、40名を超えるプロ講師体制を築いた。
伊藤 敏代々木ゼミナール世界史講師/数強塾グループの映像授業を担当筑波大学・同大学院修士課程修了。ダイヤモンド・オンラインで「カリスマ世界史講師が教える誰も知らない本当の世界史」を連載。「キャラクターがいて、ストーリーがある。それが歴史」を掲げ、通説を多様な視点から捉え直す授業を行う。

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