京大世界史の1年計画|説明する力を階段状に作る

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京大世界史で問われるのは、ある事象を「なぜそうなったか」まで含めて説明できるかです。これは知識量とは別の能力で、訓練の順序がある。この記事は出題の分析ではなく、説明する力をどの順で積み上げるか——12か月分の階段を示します。
説明する力は4段階で作る
一言でいうと「説明できる」状態は一足飛びには作れない。①一文で言える → ②因果を3つつなげる → ③複数の要因を整理する → ④字数に合わせて構成する——この4段階を順に上がる。
| 段階 | できること | 訓練の形 |
|---|---|---|
| ① | 一文で言える | 教科書を閉じて節の要点を1文 |
| ② | 因果を3つつなげる | 「AのためB、その結果C」を口頭で |
| ③ | 複数の要因を整理する | 政治・経済・宗教などの軸で分ける |
| ④ | 字数に合わせて構成する | 指定字数で答案を書く |
- 多くの受験生は①を飛ばして④から始める。答案の形式だけ真似ることになり、中身が薄くなる。
- ①は毎日できる。教科書を1節読んで閉じ、要点を1文で言う。10秒である。
- ②は週単位で回す。その週の範囲から3つ、因果の鎖を口頭で言えるようにする。
- ③は月単位。ある事象について、政治・経済・社会・宗教の軸で要因を分けて書き出す。
- ④が答案である。①〜③ができていれば、④は形式の練習で足りる。
- 逆に①〜③を飛ばすと、④の練習をいくら重ねても書ける量が増えない。
「一文で言う」を毎日やるこの4段階の土台は①です。1節読んで閉じ、要点を1文で言う——10秒の作業ですが、これができない範囲は、論述でも絶対に書けません。逆に言えば、日々の通史学習がそのまま論述の訓練になります。
出題の中身はこの記事の範囲外設問の形式や過去に問われた主題については、傾向を扱った記事を参照してください。この記事は訓練の順序と時期だけを扱います。
4月〜8月 — ①と②を日課にする
- 4〜6月:通史を一周する。1節ごとに閉じて一文——これを例外なく続ける。
- 週の最後に、その週から因果の鎖を3本選び、口頭で言えるようにする(段階②)。
- 口頭でよい。書くと時間がかかり、続かない。続くことの方が重要である。
- 7〜8月:通史の二周目。用語を詰めながら、因果の鎖を週5本に増やす。
- 夏に1年分だけ過去問を見る。解かなくてもよい。どの程度の説明が求められるかを知るのが目的である。
- 8月末に、説明しにくかった分野を洗い出す。多くの場合、経済史と文化史が残る。
- 残った分野は9月の重点になる。ここまでが前半である。
口頭でよい理由書く訓練は時間がかかるため、毎日は続きません。しかし口に出せない説明は、書いても書けません。口頭なら1本30秒です。週5本でも週に2〜3分。続く形にすることが、この時期の設計です。
経済史と文化史が残りやすい政治史は因果が追いやすいので自然に身につきますが、経済史と文化史は説明の形にしにくく、後回しになりがちです。8月末の洗い出しで、必ずここを確認してください。
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9月〜12月 — ③と④へ上がる
- 9月:段階③に入る。ある事象について政治・経済・社会・宗教の4軸で要因を分けて書き出す。週2本。
- この作業で、1つの事象について書ける量が一気に増える。軸があると思い出せるためである。
- 10月:段階④に入る。指定字数を決めて答案を書く。週2本。
- 書いたら第三者に読ませる。伝わっているかは自分では判定できない。
- 11月:週2〜3本。過去問を遡って解く。書けなかった主題は③に戻って軸で整理し直す。
- 12月:共通テストとの配分を決める。①の日課と、週1本の答案は止めない。
- ①を止めると、他のすべてが鈍る。10秒の作業なので、どれだけ忙しくても入る。
| 時期 | 段階 | 量 |
|---|---|---|
| 4〜6月 | ①+② | 毎日一文/週3本の因果 |
| 7〜8月 | ①+② | 毎日一文/週5本の因果 |
| 9月 | ③ | 週2本の軸分け |
| 10〜11月 | ④ | 週2〜3本の答案 |
| 12月 | ①+④ | 毎日一文/週1本 |
軸を持つと書ける量が増える「政治・経済・社会・宗教」という4つの軸を当てるだけで、思い出せる要素の数が変わります。知識が増えたのではなく、取り出し口が増えたのです。段階③の価値はここにあります。
1月〜2月 — 直前期に何を回すか
- 1月前半:共通テストに集中。ただし①の日課は継続する。10秒なので削る理由がない。
- 1月後半:二次対策へ戻る。まず9月以降に作った軸分けのメモを通しで読む。
- 次に自分が書いた答案を読み返す。同じ型で落としていないかを確認する。
- 2月:新しい教材は使わない。軸分けメモと自分の答案だけを回す。
- 説明しにくい分野が残っていれば、そこだけ教科書に戻る。全範囲を回そうとしない。
- 前日は①を通しでやる。各時代の要点を一文ずつ言っていくだけでよい。
直前期の教材は2つだけ軸分けのメモと、自分の答案——この2つが直前期のすべてです。どちらも自分で作ったものなので反応が速い。他人のまとめを直前に読んでも、本番での取り出し速度は出ません。
全範囲を回そうとしない直前期に全範囲を均等に回すと、どこも中途半端になります。説明しにくい分野が明確になっているはずなので、そこだけに時間を使ってください。
入試で狙われるポイント総覧
- 説明する力は①一文 ②因果3連 ③軸で整理 ④字数構成の4段階
- 多くの受験生は①を飛ばして④から始める
- ①は毎日10秒——1節読んで閉じ、一文で言う
- ②は口頭でよい。続く形にすることが設計
- 経済史と文化史が説明の訓練から漏れやすい
- 9月から③——政治・経済・社会・宗教の4軸
- 軸を持つと取り出せる量が増える
- 10月から④(答案)。週2〜3本、必ず人に見せる
- 12月も①と週1本は止めない
- 直前期は軸分けメモと自分の答案だけ
今日から始めること今日読んだ1節を、本を閉じて一文で言ってください。これが京大世界史の訓練の第一段階です。ここが積み上がっていない状態で答案の練習を始めても、書ける量は増えません。
この記事の一問一答(確認テスト)
- Q1. 説明する力を作る4段階を答えよ。
- A. 一文で言う・因果を3つつなげる・軸で整理する・字数に合わせて構成する
- Q2. 段階①の具体的な作業と所要時間を答えよ。
- A. 1節読んで本を閉じ要点を1文で言う。10秒
- Q3. 段階②を口頭で行う理由を答えよ。
- A. 書くと時間がかかり続かないため。続くことが重要
- Q4. 説明の訓練から漏れやすい2分野を答えよ。
- A. 経済史と文化史
- Q5. 段階③で用いる4つの軸を答えよ。
- A. 政治・経済・社会・宗教
- Q6. 直前期に回す2つの教材を答えよ。
- A. 軸分けのメモと、自分が書いた答案
よくある質問
- 答案の練習をしても書ける量が増えません。
- 段階①〜③が積み上がっていない可能性が高いです。形式だけ練習しても中身は増えません。1節ごとに一文で言うところへ戻り、次に4軸での整理を挟んでください。
- 因果の練習は書いた方がよいのでは?
- 書く方が精度は上がりますが、毎日は続きません。口に出せない説明は書いても書けないので、まずは口頭で量を確保してください。答案として書くのは10月からで足ります。
- 4軸で整理するとは具体的に何をしますか?
- 1つの事象について、政治・経済・社会・宗教の欄を作り、それぞれの要因を書き出します。知識が増えるのではなく取り出し口が増える作業です。週2本で十分効果があります。
- 直前期に全範囲を回すべきですか?
- 回さない方がよいです。均等に回すとどこも中途半端になります。説明しにくい分野は既に分かっているはずなので、そこだけに時間を使ってください。
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この記事について
世界史専門オンライン塾「日本世界史塾」の編集部が、入試での問われ方を基準に作成しています。当塾では次の講師が指導にあたっています。
藤
藤原 進之介日本世界史塾 代表/株式会社数強塾 代表数強塾グループ創業者。東進最年少講師、代々木ゼミナールの日本初となる情報Ⅰ講師を務め、著書は9冊。累計2,500名以上の指導と、40名を超えるプロ講師体制を築いた。
伊
伊藤 敏代々木ゼミナール世界史講師/数強塾グループの映像授業を担当筑波大学・同大学院修士課程修了。ダイヤモンド・オンラインで「カリスマ世界史講師が教える誰も知らない本当の世界史」を連載。「キャラクターがいて、ストーリーがある。それが歴史」を掲げ、通説を多様な視点から捉え直す授業を行う。
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