世界史の論述の書き方|設問分析から答案作成までの型

世界史の論述の書き方|設問分析から答案作成までの型
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世界史の論述で点が取れない人の大半は、知識不足ではありません。「設問が何を要求しているかを取り違えている」か、「因果ではなく用語を並べている」かのどちらかです。この記事では、設問分析から答案完成までの手順を、実際の書き方の順番どおりに示します。

論述で採点されているもの

一言でいうと世界史論述の採点は、①設問の要求に答えているか ②必要な因果が入っているか ③時期・地域の限定が守られているかの3点で決まる。用語の多さは加点要素ではない。
答案のタイプ 評価 理由
用語を大量に並べた答案 低い 因果が示されず、設問への解答になっていない
因果を3〜5本つないだ答案 高い 設問の要求に構造で答えている
知識は少ないが要求に忠実な答案 中〜高 部分点が確実に入る
知識は豊富だが要求からズレた答案 0点もありうる 設問に答えていないと判断される
最も怖い失点「知識はあるのに0点」は実際に起こります。「◯◯について、その経済的影響を述べよ」に対して政治的経過を書けば、どれだけ正確でも加点されません。設問の要求語を丸で囲む習慣を必ずつけてください。

手順① 設問を分解する(所要2分)

答案を書き始める前に、設問文から次の4項目を抜き出します。この作業を飛ばす人は、必ずどこかでズレます。

  1. 主題 — 何について書くのか(例:ヨーロッパの主権国家体制)
  2. 時期 — いつからいつまでか(例:16〜18世紀)
  3. 地域 — どこの話か(例:西ヨーロッパに限定か、東欧を含むか)
  4. 観点 — どういう角度から書くのか(例:経済的影響/政治体制の変化/他地域との比較)

とくに観点の見落としが致命傷になります。「変化を述べよ」なら前後の対比が必要で、「理由を述べよ」なら因果の説明が必要、「比較せよ」なら共通点と相違点の両方が必要です。設問の動詞が答案の構造を決めます。

設問の動詞 求められる構造
説明せよ/述べよ 因果を順に並べる
変化を述べよ 前の状態 → 転機 → 後の状態の3ブロック
理由を述べよ 結果から遡って原因を複数挙げる
比較せよ 共通点と相違点を明示(観点をそろえる)
影響を述べよ 対象を分野別(政治・経済・社会・文化)に分けて書く
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手順② 指定語句を配置する(所要3分)

指定語句がある場合、それはヒントであると同時に採点基準です。出題者は「この語を使う文脈まで理解しているか」を見ています。

  1. 指定語句をすべて書き出し、それぞれが何の話題に属するかを分類する。
  2. 分類ごとにまとめると、答案のブロック(段落)が自然に決まる。
  3. ブロックを因果の順に並べ替える。
  4. どの語をどのブロックで使うかを確定させる。
指定語句の落とし穴指定語句を「とりあえず全部入れた」だけの答案は評価されません。その語が果たす役割(原因なのか結果なのか)が文中で示されているかが見られます。語を入れる位置を先に決めるのは、このためです。

手順③ 骨子を作る(所要5分)

いきなり文章を書き始めてはいけません。箇条書きで骨子を作ります。字数配分の目安は次のとおりです。

制限字数 因果の本数 構成
60字 1本 原因→結果を1文で
120字 2本 背景→展開
200字 3本 背景→転機→結果
400字 4〜5本 背景→展開→転機→結果→影響
600字(東大型) 5〜6本 地域や時期ごとにブロックを分ける

骨子の段階で「この答案は設問の要求に答えているか」をもう一度確認してください。ここで気づけば書き直しは1分ですが、清書後に気づくと取り返せません。

手順④ 書く — 減点されない文章術

  • 一文一義 — 1つの文に1つの因果。長文にすると主語と述語がねじれる
  • 主語を明示する — 「〜された」の受身を多用すると、誰が行ったかが不明になり減点される
  • 時期を明示する — 「その後」ではなく「18世紀後半に」と書く
  • 接続で因果を見せる — 「〜したため」「その結果」「これに対し」を意識的に使う
  • 曖昧語を避ける — 「大きな影響を与えた」だけでは加点されない。何がどう変わったかを書く
  • 字数は9割以上 — 制限字数の8割未満は、要求を満たしていないと判断されやすい

採点者は答案の中に「加点ポイント」を探しながら読んでいます。したがって、加点要素が見つけやすい書き方——因果を接続語で明示し、時期と主語をはっきりさせる——が有利です。美文である必要はまったくありません。

書き出しのテンプレート「変化を述べよ」なら「◯◯以前は〜であったが、△△を契機として〜へ変化した。」から始めると、答案の構造が採点者に一目で伝わります。型を持っていると、本番で手が止まりません。

手順⑤ 添削を受ける — ここが独学の限界

論述は自己採点が最も難しい分野です。理由は3つあります。

  1. 模範解答と表現が違っても正解の場合があるため、自分の答案が正しいか判断できない。
  2. 逆に模範解答と似ていても、設問の要求を外していれば0点になる。この判定は自分では下せない。
  3. 自分の答案の癖(主語の省略、時期の曖昧さ、因果の飛躍)は、本人には見えない。

したがって、第三者に採点基準に沿って読んでもらう仕組みを必ず用意してください。学校の先生、塾、添削サービスのいずれでも構いませんが、「どの因果が抜けたか」を指摘してくれる相手を選ぶことが重要です。「もっと詳しく書きましょう」というコメントだけでは改善できません。

日本世界史塾では、担任講師が毎回の答案を加点ポイントごとに丸をつけて返却し、抜けた因果を次回の授業で再現できるまで扱います。答案は書いた回数ではなく、直した回数で伸びます。体験授業(3,300円・税込)でも、実際に1問書いてもらい、その場で添削しています。

この記事の一問一答(確認テスト)
Q1. 論述の採点で見られている3点を答えよ。
A. 設問の要求に答えているか・必要な因果が入っているか・時期と地域の限定を守っているか
Q2. 設問文から抜き出すべき4項目を答えよ。
A. 主題・時期・地域・観点
Q3. 「変化を述べよ」と問われたときの答案構造は。
A. 前の状態→転機→後の状態の3ブロック
Q4. 200字論述で目安となる因果の本数は。
A. 3本
Q5. 制限字数はどのくらい埋めるべきか。
A. 9割以上
Q6. 論述が独学で伸びにくい最大の理由は。
A. 自分では設問の要求とのズレを判定できないから

よくある質問

論述対策はいつから始めればいいですか?
通史が1周終わってからで十分です。目安は高3の秋。ただし志望校が東大・一橋など論述比重の高い大学なら、夏から短めの論述(60〜120字)で型づくりを始めてください。
模範解答を丸暗記するのは有効ですか?
丸暗記は非効率ですが、骨子(因果の並び)を覚えるのは有効です。同じ因果は別の設問でも使い回せるため、テーマごとに骨子をストックしていくのが効率的です。
指定語句は全部使わないといけませんか?
原則すべて使ってください。ただし入れるだけでは加点されず、その語が原因か結果かという役割が文中で示されている必要があります。
字数が足りないときはどうすればいいですか?
形容を増やすのではなく、因果を1本足してください。「なぜそうなったか」「その結果どうなったか」を前後に伸ばすのが正しい増やし方です。
この記事について

世界史専門オンライン塾「日本世界史塾」の編集部が、入試での問われ方を基準に作成しています。当塾では次の講師が指導にあたっています。

藤原 進之介日本世界史塾 代表/株式会社数強塾 代表数強塾グループ創業者。東進最年少講師、代々木ゼミナールの日本初となる情報Ⅰ講師を務め、著書は9冊。累計2,500名以上の指導と、40名を超えるプロ講師体制を築いた。
伊藤 敏代々木ゼミナール世界史講師/数強塾グループの映像授業を担当筑波大学・同大学院修士課程修了。ダイヤモンド・オンラインで「カリスマ世界史講師が教える誰も知らない本当の世界史」を連載。「キャラクターがいて、ストーリーがある。それが歴史」を掲げ、通説を多様な視点から捉え直す授業を行う。

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