東大世界史の1年計画|大論述から逆算して12か月を組む

東大世界史の1年計画|大論述から逆算して12か月を組む
日本世界史塾編集部世界史専門オンライン個別指導担任制マンツーマン/全国・海外対応

東大世界史の対策で最も多い失敗は、順序を間違えることです。通史を完璧にしてから論述へ——この順で始めると、多くの場合論述の練習時間が残りません。この記事は傾向の分析ではなく、いつ何をしているべきかを12か月の計画として示します。出題の中身については別記事に譲ります。

逆算の起点 — 大論述に必要な力を分解する

一言でいうと東大世界史の中心は長文の論述である。ここで問われるのは知識量ではなく、与えられた主題に沿って、複数の地域・時代の事象を関係づけて構成する力である。計画はこの力から逆算して組む。
  1. 大論述に必要な力は3層に分解できる。
  2. 第1層=通史の骨格。各地域で何が起き、どの順に並ぶかが頭に入っている。
  3. 第2層=横断のまとめ。同じ主題(交易・宗教・国家形成など)で、地域と時代をまたいで整理できている。
  4. 第3層=構成と記述。設問の条件に合わせて要素を選び、字数内で組み立てられる。
  5. 多くの受験生は第1層に時間を使いすぎ、第2層を飛ばして第3層に入る。すると書く材料がないまま形式だけ練習することになる。
  6. 実際には第2層が大論述の本体である。ここに十分な時間を配分できるかで結果が変わる。
内容 配分の目安
第1層 通史の骨格 全体の4割
第2層 主題別の横断整理 全体の4割
第3層 構成と記述の訓練 全体の2割
第2層に4割を配分する「通史7割・論述3割」という配分で組むと、たいてい第2層が消えます。第2層は通史でも論述でもない中間の作業なので、意識して枠を取らないと発生しません。ここを明示的に計画へ書き込むことが、この記事の最大の主張です。
出題の詳細はこの記事の範囲外設問の構成や過去の主題については、傾向を扱った記事で確認してください。この記事は時間の配分と順序だけを扱います。両方を読むと、何をいつやるかが具体的に決まります。

4月〜9月 — 第1層と第2層を並行させる

  1. 4〜6月:通史を最後まで一周する。精度より速度。ここで現代史まで到達しておく。
  2. 同時に、週1回だけ主題別のまとめを1枚作る。「交易路」「宗教と国家」「土地制度」など、1週間に1主題でよい。
  3. この週1枚が第2層の蓄積になる。半年で24枚ほどたまる。
  4. 7〜8月:通史の二周目。用語を詰めながら、まとめの枚数を週2枚に増やす
  5. 夏に過去問を1年分だけ解く。得点は問わない。自分のまとめが使えるかどうかを確かめるためである。
  6. 使えなければ、まとめの粒度が細かすぎるか、地域が偏っている。ここで作り方を修正する。
  7. 9月:まとめを主題ごとに束ね直し、不足している主題を洗い出す。ここまでが前半である。
「週1枚のまとめ」が計画の中核大論述の材料は、直前期には作れません。1枚10〜20分の作業を毎週続けることでしか蓄積しない種類の資産です。4月に始めれば、本番までに40枚以上になります。日本世界史塾では、この蓄積を毎週の課題として管理します。
夏に論述を大量に書かない材料がない段階で論述の量をこなしても、書く型は身につきますが中身が伴いません。夏の主眼は第2層の蓄積です。論述は1年分の過去問で足ります。
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10月〜12月 — 第3層へ移り、書く量を増やす

  1. 10月:ここで初めて論述演習を主軸に切り替える。週2本を目安に書く。
  2. 書いたら必ず第三者に見せる。自分では「伝わっているか」を判定できないためである。
  3. 11月:週2〜3本。過去問を年度順に遡って解く。解いた主題は、まとめの束に戻して補強する
  4. この往復——書く→足りない主題を補う→また書く——が後半の中心作業になる。
  5. 12月:共通テスト対策との配分を決める。論述の感覚は落ちるのが早いので、週1本は書き続ける
  6. 共通テストの期間中も完全に止めない。1週間空けると、戻すのに数日かかる。
時期 主作業 論述の本数
4〜6月 通史一周+週1枚のまとめ 0本
7〜8月 通史二周+週2枚 過去問1年分
9月 まとめの束ね直し 0〜1本
10〜11月 論述演習が主軸 週2〜3本
12月 共通テストと並行 週1本を維持
書く→補う→書くの往復論述演習の価値は、点数を測ることではなく「足りない主題を発見すること」にあります。1本書くごとに、まとめの束へ戻って不足を補う。この往復を何回できたかが、直前期の完成度を決めます

1月〜2月 — 直前期の使い方

  1. 1月前半:共通テストに集中する。ただし週1本の論述だけは維持する。
  2. 1月後半:二次対策へ全面的に戻す。まずまとめの束を通しで読み直す(2〜3日)。
  3. その後、過去問を時間を計って解く。ここで初めて時間配分を固める。
  4. 2月:新しい教材には手を出さない。これまで書いた論述と、まとめの束だけを回す
  5. 直前に効くのは自分が書いたものの読み返しである。他人のまとめでは反応速度が出ない。
  6. 前日はまとめの束を1回通すだけでよい。詰め込みは翌日の判断力を下げる。
直前期は「自分の資産」だけを回す1月後半以降に新しい参考書を始めると、たいてい終わりません。4月から積んだまとめの束と、10月以降に書いた答案——この2つが直前期の教材のすべてです。だからこそ、前半の蓄積が効いてきます。
時間配分は1月に決める時間配分の練習を12月までにやる必要はありませんが、1月後半には固めてください。本番で配分を考えながら解くと、それだけで大きく削られます。

入試で狙われるポイント総覧

  • 必要な力は通史の骨格・主題別の横断・構成と記述の3層
  • 多くの受験生は第2層(横断のまとめ)を飛ばす
  • 配分の目安は4割・4割・2割
  • 4〜6月=通史一周(速度優先)+週1枚のまとめ
  • 7〜8月=通史二周+週2枚。過去問は1年分だけ
  • 夏に論述を大量に書かない——材料が先
  • 10月から論述を主軸に。週2〜3本
  • 論述は書く→足りない主題を補う→また書くの往復
  • 12月も週1本を維持(感覚は早く落ちる)
  • 直前期は自分のまとめと答案だけを回す
今週から始めること「今週の主題を1つ決めて、1枚まとめる」——これを今週から始めてください。始めた週から本番までの週数が、そのまま蓄積の量になります
この記事の一問一答(確認テスト)
Q1. 東大世界史に必要な力の3層を答えよ。
A. 通史の骨格・主題別の横断整理・構成と記述
Q2. 多くの受験生が飛ばしてしまう層を答えよ。
A. 第2層(主題別の横断整理)
Q3. 4〜6月にやることを2つ答えよ。
A. 通史を速度優先で一周すること、週1枚の主題別まとめ
Q4. 夏に解く過去問の量と、その目的を答えよ。
A. 1年分。自分のまとめが使えるかを確かめるため
Q5. 論述を主軸に切り替える時期を答えよ。
A. 10月
Q6. 直前期に回す教材を答えよ。
A. 自分で積んだまとめの束と、自分が書いた答案

よくある質問

通史が終わっていないのに主題別のまとめを作れますか?
作れます。むしろ通史と並行させるべきです。まとめは完成品である必要はなく、その時点で書ける範囲で1枚にすれば十分です。通史が二周目に入ったときに書き足していきます。
論述はいつから書き始めるべきですか?
夏に1年分の過去問、本格的には10月からです。材料がない段階で量をこなしても中身が伴いません。ただし10月に始めるためには、4月からの蓄積が要ります
共通テスト対策で二次対策が止まってしまいます。
週1本の論述だけは維持してください。論述の感覚は落ちるのが早く、1週間空けると戻すのに数日かかります。1本なら共通テスト期間中でも入ります。
出題の傾向はどこで確認できますか?
この記事は時間配分と順序だけを扱っています。設問の構成や問われ方については、傾向を扱った記事を併せて読んでください。両方そろうと、何をいつやるかが具体的に決まります。
この記事について

世界史専門オンライン塾「日本世界史塾」の編集部が、入試での問われ方を基準に作成しています。当塾では次の講師が指導にあたっています。

藤原 進之介日本世界史塾 代表/株式会社数強塾 代表数強塾グループ創業者。東進最年少講師、代々木ゼミナールの日本初となる情報Ⅰ講師を務め、著書は9冊。累計2,500名以上の指導と、40名を超えるプロ講師体制を築いた。
伊藤 敏代々木ゼミナール世界史講師/数強塾グループの映像授業を担当筑波大学・同大学院修士課程修了。ダイヤモンド・オンラインで「カリスマ世界史講師が教える誰も知らない本当の世界史」を連載。「キャラクターがいて、ストーリーがある。それが歴史」を掲げ、通説を多様な視点から捉え直す授業を行う。

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