東大世界史の対策|第1問の大論述で合格答案を書く手順

東京大学の世界史は、第1問の大論述(例年600字前後)が最大の関門です。しかし東大が求めているのは知識の量ではありません。指定語句を手がかりに、複数の地域と時代を貫く「変化」を説明する力です。この記事では、設問分析から答案完成までの手順を、実際に手を動かす順番で示します。
東大世界史の構成と、求められている力
| 大問 | 形式 | 求められる力 |
|---|---|---|
| 第1問 | 大論述(例年600字前後、指定語句あり) | 複数の地域・時代を貫く構造的な変化の説明 |
| 第2問 | 中小論述(数十字〜120字程度)+短答 | 特定のテーマについての正確な因果の説明 |
| 第3問 | 短答中心 | 基本知識の正確さ |
手順① 設問を分解する(3分)
答案を書き始める前に、設問文から次の5項目を必ず抜き出してください。この作業を飛ばした答案は、ほぼ確実に要求からずれます。
- 主題 — 何について書くのか(例:ある地域の政治体制の変化)
- 時期 — いつからいつまでか。時期の指定は絶対に守る
- 地域 — どこを扱うのか。複数地域が指定されたら全部触れる
- 観点 — 「変化」「理由」「比較」「影響」のどれか。答案の構造がここで決まる
- 指定語句 — 何個あり、どのテーマに属するか
| 設問の動詞 | 答案の構造 |
|---|---|
| 変化を述べよ | 前の状態 → 転機 → 後の状態 |
| 理由を述べよ | 結果から遡って原因を複数挙げる |
| 比較せよ | 共通点と相違点を、観点をそろえて |
| 影響を述べよ | 分野別(政治・経済・社会・文化)に分ける |
| 関連づけて述べよ | 複数の事象を因果の鎖でつなぐ |
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手順② 指定語句を分類して骨子を作る(7分)
指定語句はヒントであり、同時に採点基準です。東大の大論述では、この扱い方が答案の質を決めます。
- 指定語句をすべて紙に書き出す。
- それぞれがどの地域・どの時期・どのテーマに属するかを分類する。
- 分類がそのまま答案のブロック(段落)になる。600字なら通常4〜6ブロック。
- ブロックを因果の順(または時系列)に並べ替える。
- 各ブロックに何字使うかを決める。600字÷5ブロック=1ブロック120字が目安。
この段階で「設問の要求に答える構造になっているか」を確認してください。ここで気づけば書き直しは1分ですが、清書後では取り返せません。
手順③ 書く — 加点される答案の条件
- 一文一義 — 1つの文に1つの因果。長文にすると主語と述語がねじれる
- 主語を明示 — 「〜された」の受身を多用すると、誰が行ったかが不明になり減点される
- 時期を明示 — 「その後」ではなく「18世紀後半に」と書く
- 因果を接続語で見せる — 「〜したため」「その結果」「これに対し」を意識的に使う
- 曖昧語を避ける — 「大きな影響を与えた」では加点されない。何がどう変わったかを書く
- 字数は9割以上 — 600字なら540字以上。8割未満は要求を満たしていないと判断されやすい
採点者は答案の中に加点ポイントを探しながら読んでいます。したがって、加点要素が見つけやすい書き方——因果を接続語で明示し、時期と主語をはっきりさせる——が有利です。美文である必要はまったくありません。
東大が好むテーマと、準備の仕方
過去の出題傾向から、東大が繰り返し扱ってきたのは「地域を横断する構造的な変化」です。次のテーマは、骨子をストックしておく価値があります。
- 多民族・多宗教国家の統治 — アケメネス朝、ローマ、イスラーム帝国、モンゴル、オスマン、ムガル、清。寛容/監察/交通/経済の4観点で比較表を作る。
- 交易と世界の一体化 — シルクロード、インド洋交易、大航海時代、三角貿易、産業革命後の世界市場。
- 国際秩序の変遷 — ウェストファリア → ウィーン → ヴェルサイユ → 国際連合。各体制が何を新しく決めたかを1行で。
- 政治参加の拡大 — アテネ民主政、ローマ市民権、市民革命、選挙法改正、女性参政権、脱植民地化。
- 宗教と国家の関係 — ローマとキリスト教、教皇権と皇帝権、宗教改革、政教分離、イスラームのウンマ。
- 近代化に直面した非ヨーロッパ諸国の対応 — 清(洋務→変法)、オスマン(タンジマート→青年トルコ)、日本(明治維新)、ロシアの大改革。
これらは「1つの問いに対して、複数の地域から材料を出せる」形で準備してください。東大の大論述は、知らない題材が出ても持っている比較の枠組みに当てはめれば書けるように作られています。
時期別の準備と、よくある失敗
| 時期 | やること |
|---|---|
| 〜高3春 | 通史のインプット。地域ごとに縦に読み切る |
| 高3・夏 | 通史1周完了。近現代まで必ず到達。60〜120字の短い論述で型づくりを開始 |
| 高3・9〜10月 | 上記6テーマの比較表を作る。第2問・第3問レベルの知識を固める |
| 高3・11月 | 大論述の演習を開始。必ず添削を受ける |
| 高3・12月〜 | 過去問を年度単位で解き、時間配分を確立。誤答と抜けた因果を蓄積 |
- 第3問の短答を軽視する — 基本知識の失点は致命的
- 指定語句を並べただけの答案 — 役割が示されていないと加点されない
- 時期・地域の指定を外す — どれだけ正確でも0点になりうる
- 添削を受けずに書き続ける — 自分では要求とのズレに気づけない
- 知識を増やす方向に逃げる — 東大の大論述は用語の細かさでは解けない
最後の点が最も重要です。東大対策で用語集の隅を覚え始めた人は、たいてい伸び悩みます。必要なのは持っている知識を構造化する訓練です。
- Q1. 東大世界史で最も配点が大きいとされるのは第何問か。
- A. 第1問(大論述)
- Q2. 設問文から抜き出すべき5項目を答えよ。
- A. 主題・時期・地域・観点・指定語句
- Q3. 「変化を述べよ」と問われたときの答案構造は。
- A. 前の状態→転機→後の状態
- Q4. 600字の答案でブロックはいくつが目安か。
- A. 4〜6ブロック
- Q5. 制限字数はどのくらい埋めるべきか。
- A. 9割以上
- Q6. 東大が繰り返し扱うテーマを3つ挙げよ。
- A. 多民族国家の統治・交易と世界の一体化・国際秩序の変遷
よくある質問
- 東大世界史は何割取れば合格できますか?
- 他科目との兼ね合いで変わるため一概には言えません。ただし第3問の短答を落とさず、第1問で部分点を積むのが現実的な戦略です。大論述で満点を狙う必要はありません。
- 大論述はいつから対策すべきですか?
- 通史が1周終わってからです。目安は高3の11月ですが、夏から60〜120字の短い論述で型づくりを始めておくと、秋の伸びが違います。
- 指定語句がヒントになりません。
- 分類の仕方が原因です。語を「どの地域・どの時期・どのテーマに属するか」で仕分けしてください。分類がそのまま答案のブロックになります。
- 独学で大論述は書けるようになりますか?
- 型を学ぶところまでは可能ですが、採点は独学では困難です。模範解答と違っても正解の場合があり、似ていても要求を外せば0点になります。「どの因果が抜けたか」を指摘してくれる相手を必ず確保してください。
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