世界史の教科書の読み方|読んでも頭に入らない人へ

世界史の教科書の読み方|読んでも頭に入らない人へ
日本世界史塾編集部世界史専門オンライン個別指導担任制マンツーマン/全国・海外対応

「教科書を読んでも頭に入らない」——これは能力の問題ではありません。世界史の教科書は、読み物として作られていないからです。情報が極限まで圧縮されており、因果を示す言葉が省かれている。だから読み方を変えないと入りません。この記事では、教科書を得点に変える具体的な読み方を示します。

なぜ教科書は頭に入らないのか

原因は3つあります。自分に当てはまるものを確認してください。

原因 症状 対処
① 圧縮されすぎている 1文に情報が多すぎて追えない 1文を分解して読む
② 因果が省略されている 出来事が並んでいるだけに見える 「だから」を自分で補う
③ 時代と地域が飛ぶ 章の中で中国とヨーロッパが交互に出る 地域ごとに縦に読む
一言でいうと教科書は「学んだ内容を確認するための本」であって、「ゼロから学ぶための本」ではない。この前提を知らずに最初から読むと、必ず挫折する。
最初の1周目には向かない世界史をまったく知らない状態で教科書を読むのは、辞書を最初から読むようなものです。1周目は講義系の参考書や映像授業で流れをつかみ、教科書はその後で使うのが正解です。ただし共通テストと国公立は教科書の記述が出題の基準なので、最終的には必ず教科書に戻ります

読み方① 1文を分解する

教科書の1文には、複数の情報が詰め込まれています。そのまま読むと処理しきれません。要素に分けて読むだけで、理解度が変わります。

たとえば次のような文があったとします。

一言でいうと「均田制の崩壊にともない、780年に両税法が施行され、租庸調に代わって土地と資産に応じた課税が行われるようになった。」
  1. いつ — 780年
  2. どこ — 唐
  3. 何が — 両税法が施行された
  4. 何に代わって — 租庸調
  5. どう変わったか — 人への課税から土地と資産への課税
  6. なぜ — 均田制が崩壊したから(※その理由は書かれていない
書かれていないことに気づくこの文には「なぜ均田制が崩壊したのか」が書かれていません。教科書はこうした因果を頻繁に省略します。「なぜ」が書かれていない箇所こそ、自分で補うべき場所です。ここを埋めた人が論述で書けるようになります。

分解の習慣は、正誤問題の判断力にも直結します。選択肢を見たときに「いつ・どこ・何が・どう」で自動的に分解できるようになるからです。

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読み方② 「だから」を書き込む

教科書は出来事を並列で並べがちです。しかし実際には因果でつながっています。余白に「だから」を書き込むだけで、記憶の質が変わります。

教科書の書き方 自分で補う因果
「人口が増加し、均田制は崩壊した」 人口増加 →だから→ 配る土地が不足 →だから→ 均田制が機能しない
「安史の乱後、節度使が各地に割拠した」 乱を自力で鎮圧できず →だから→ 協力した節度使に権限を与えた →だから→ 割拠
「十字軍は失敗に終わった」 失敗 →だから→ 教皇の権威が傷つく →だから→ 王権が相対的に強まる
  1. 1段落読んだら、出来事の間に矢印を書く
  2. 矢印が引けない箇所=因果が分かっていない箇所。そこに印をつける。
  3. 印のついた箇所を、参考書や資料集で確認する。
  4. 確認できたら、教科書の余白に一言で因果を書き込む
きれいに書き込まない色ペンで装飾する必要はありません。鉛筆で矢印と一言で十分です。清書に時間を使うと、肝心の「考える」時間が減ります。

読み方③ 地域ごとに縦に読む

教科書は時代ごとに地域を行き来する構成になっています。同じ章の中で中国とヨーロッパとイスラームが交互に出てきて、どれも中途半端に終わる——これが混乱の大きな原因です。

  1. 1周目は地域ごとに縦に読む — 中国史なら殷から清まで、イスラーム史ならムハンマドからオスマン帝国まで、該当ページだけを拾って通しで読む。
  2. 目次と索引を使う — 教科書の目次で、その地域が出てくる章を先に洗い出しておく。
  3. 縦が入ってから、横につなぐ — 「同じ頃、ヨーロッパでは何が起きていたか」を確認する。
縦と横の順番縦(地域ごと)→ 横(同時代)の順です。逆にすると、どの地域も断片的なまま終わります。ただし共通テストは横のつながりを問うため、最終的には横も必ず作ってください。

横をつなぐときは、世紀ごとに区切った年表が有効です。上段に西洋、下段に東洋を書くと、同時代の対応が視覚的につかめます。

教科書を「使う」タイミングと、その他の技術

時期 教科書の使い方
1周目(インプット) 使わない。講義系参考書や映像授業で流れをつかむ
2周目 地域ごとに縦に読む。1文を分解し、「だから」を書き込む
3周目 横につなぐ。同時代の他地域を確認する
過去問演習期 間違えた範囲だけ戻る。教科書は出題の基準なので必ず確認
直前期 書き込んだ箇所だけを読み返す

あわせて使うもの

  • 資料集 — 地図・図版・史料。教科書を読む横に必ず開く。文字だけでは地域のズレを見抜けない
  • 用語集 — 分からない語が出たときだけ引く。通読しない
  • 一問一答 — その日読んだ範囲だけを確認する

脚注と図表を飛ばさない

多くの受験生が脚注・図表・史料を飛ばして本文だけ読みます。しかし私大では脚注レベルの語が問われますし、共通テストでは図表そのものが設問の材料になります。脚注と図表は「本文の一部」だと考えてください。

日本世界史塾での指導「教科書を読んでも入らない」という生徒には、まず1段落を一緒に読んで矢印を引いてもらいます。矢印が引けない箇所が理解の穴であり、そこが本番で書けない箇所だからです。読み方を変えるだけで、同じ教材から得られるものが大きく変わります。体験授業(3,300円・税込)では、この読み方を実際にお見せします。
この記事の一問一答(確認テスト)
Q1. 教科書が頭に入らない3つの原因を答えよ。
A. 圧縮されすぎている・因果が省略されている・時代と地域が飛ぶ
Q2. 教科書は最初のインプットに向いているか。
A. 向いていない(1周目は講義系参考書や映像授業を使う)
Q3. 教科書の1文を分解するときの観点を答えよ。
A. いつ・どこ・何が・何に代わって・どう変わったか・なぜ
Q4. 余白に書き込むべきものは。
A. 出来事の間の因果(矢印と一言)
Q5. 地域ごとに読むのと同時代でつなぐのは、どちらが先か。
A. 地域ごとに縦に読むのが先
Q6. 多くの受験生が飛ばしてしまう部分は。
A. 脚注・図表・史料

よくある質問

教科書を最初から読むのはだめですか?
世界史をまったく知らない状態では非効率です。教科書は「学んだ内容を確認する本」であり、1周目は講義系参考書や映像授業で流れをつかんでください。ただし最終的には必ず教科書に戻ります
書き込みはどのくらいすればいいですか?
鉛筆で矢印と一言で十分です。色ペンで装飾すると清書に時間を取られ、考える時間が減ります。
脚注や図表も読むべきですか?
読んでください。私大では脚注レベルの語が問われ、共通テストでは図表そのものが設問の材料になります。脚注と図表は本文の一部だと考えてください。
何周すればいいですか?
3周が目安です。1周目は流れ(参考書)、2周目は地域ごとに縦に読む、3周目は同時代で横につなぐ。その後は間違えた範囲だけ戻ります。
この記事について

世界史専門オンライン塾「日本世界史塾」の編集部が、入試での問われ方を基準に作成しています。当塾では次の講師が指導にあたっています。

藤原 進之介日本世界史塾 代表/株式会社数強塾 代表数強塾グループ創業者。東進最年少講師、代々木ゼミナールの日本初となる情報Ⅰ講師を務め、著書は9冊。累計2,500名以上の指導と、40名を超えるプロ講師体制を築いた。
伊藤 敏代々木ゼミナール世界史講師/数強塾グループの映像授業を担当筑波大学・同大学院修士課程修了。ダイヤモンド・オンラインで「カリスマ世界史講師が教える誰も知らない本当の世界史」を連載。「キャラクターがいて、ストーリーがある。それが歴史」を掲げ、通説を多様な視点から捉え直す授業を行う。

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