大阪大学の世界史 対策|長い時間軸をひとつながりで書く力

大阪大学の世界史 対策|長い時間軸をひとつながりで書く力
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大阪大学の世界史では、一つのテーマを長い時間軸で追わせるタイプの論述が特徴的です。「◯世紀から◯世紀にかけて」という長期の変化を、途中を飛ばさずに書き切る——これは単発の知識をいくら積んでも書けません。必要なのはテーマを縦につなぐ準備です。その作り方を示します。

阪大の世界史はどういう試験か

一言でいうと大阪大学の世界史は、記述・論述を中心とした出題。とくに長い時間軸にわたる変化複数地域の関係を説明させる設問が見られる。知識は教科書レベルだが、つなげる力が要求される。
観点 傾向
形式 記述+論述。まとまった字数の論述を含む
難易度 知識は教科書レベル。構成力で差がつく
時代・地域 全時代・全地域。アジアも確実に出る
特徴 長期の変化地域間の関係を問う
必ず確認を設問数・字数・形式は年度により変動します。ここに書くのは過去問全体から読み取れる傾向であり、受験年度の実際の出題は赤本と大学公表の入試情報で必ず確認してください

阪大で崩れるのは、知識が断片のままの受験生です。「均田制は知っている」「両税法も知っている」——しかしその間に何が起きたかを言えないと、長い時間軸の論述は書けません。

長い時間軸を書く — 「鎖」を作る

長期の変化を書くには、出来事を鎖のようにつないだストックが必要です。次のように、始点から終点まで一続きで言える状態を作ってください。

例:唐の衰退(8〜10世紀)

人口増加で配る土地が不足 → 均田制の崩壊 → 農民の逃亡で戸籍が機能せず租庸調が破綻 → 両税法へ(780年)→ 府兵制も成り立たず募兵制へ → 辺境に節度使が置かれ兵権が地方へ → 安史の乱を自力鎮圧できず → 藩鎮の割拠 → 塩の専売に依存 → 黄巣の乱 → 朱全忠が唐を滅ぼす(907年)

例:中世ヨーロッパの解体(11〜15世紀)

農業技術の向上で生産力が増加 → 人口増加と余剰生産物 → 商業の復活と都市の成長 → 貨幣経済の浸透 → 賦役から地代の金納化へ → 黒死病で人口激減 → 労働力不足で農民の地位が向上 → 領主の引き締めに対し農民反乱 → 荘園制の解体 → 諸侯の没落と王権の強化

例:世界の一体化(15〜19世紀)

オスマンとイタリア商人の中間搾取 → 大航海時代 → 商業革命と価格革命 → アメリカ大陸の銀がアジアへ流入し一条鞭法へ → 大西洋三角貿易 → 資本の蓄積 → 産業革命 → 自由貿易と世界市場 → 非ヨーロッパ地域のモノカルチャー化

鎖の作り方各テーマについて、矢印でつないだ1行の鎖をノートに書いてください。書けない箇所が理解の穴です。10本の鎖を持っていれば、阪大の長期論述の大半に対応できます。
途中を飛ばさない「均田制が崩れた → 安史の乱」では、間の4段階が抜けています。阪大が見ているのは、この間をどれだけ丁寧に埋められるかです。飛ばした答案は「理解が浅い」と判断されます。
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用意すべき10本の鎖

  1. 唐の律令体制の崩壊(均田制→両税法→節度使→安史の乱→滅亡)
  2. 中世ヨーロッパの解体(農業革命→都市→黒死病→荘園制の解体→王権強化)
  3. 世界の一体化(大航海→価格革命→三角貿易→産業革命→世界市場)
  4. 教皇権の盛衰(クリュニー改革→カノッサ→インノケンティウス3世→アナーニ→教会大分裂→宗教改革)
  5. イスラーム世界の変質(正統カリフ→ウマイヤ→アッバース→カリフとスルタンの分離→3大帝国)
  6. フランス革命からウィーン体制へ(財政難→革命→ナポレオン→ナショナリズムの覚醒→ウィーン体制→1848年)
  7. ドイツ統一への道(分権的な神聖ローマ→ナポレオンの衝撃→1848年の挫折→ビスマルク→帝国)
  8. 中国の半植民地化(アヘン戦争→太平天国→洋務運動→日清戦争→変法→義和団→辛亥革命)
  9. 二つの大戦と国際秩序(帝国主義→第一次大戦→ヴェルサイユ体制→世界恐慌→第二次大戦→国際連合)
  10. 冷戦とその終結(ヤルタ→封じ込め→朝鮮戦争→キューバ危機→デタント→新冷戦→ペレストロイカ→ソ連解体)
鎖の伸縮本番では、この鎖を設問の指定した時期・地域に合わせて切り出すだけです。「18世紀後半から19世紀前半」と指定されたら、鎖のその部分を取り出して肉付けします。ゼロから考える時間がなくなるため、処理速度が大きく変わります。

地域間の関係を問う設問への対処

阪大では複数地域の関係を問う設問も見られます。この場合、「一方が他方に何をもたらしたか」を双方向で書くのが型です。

関係 A→Bへの影響 B→Aへの影響
ヨーロッパとアメリカ大陸 征服・疫病・プランテーション 銀・作物(ジャガイモ・トウモロコシ)
ヨーロッパとアジア 工業製品の流入・植民地化 茶・絹・陶磁器・思想(中国趣味)
イスラーム世界とヨーロッパ 十字軍・レコンキスタ ギリシア古典の還流・数学・医学
遊牧民と農耕民 軍事的圧力・征服王朝 交易路の維持・技術の媒介

「一方的に与えた/奪った」で終わらせないことが重要です。歴史上の接触は、ほぼ必ず双方向の影響を伴います。この視点を書けると、答案の質が一段上がります。

阪大で強い一文「◯◯にとっては〜であったが、△△にとっては〜であった」——立場を変えて書く一文を、答案のどこかに必ず置いてください。地域間の関係を問う設問では、これだけで理解の深さが伝わります。

時期別プランと、共通テストとの両立

時期 やること 到達目標
〜高3春 通史のインプット。地域ごとに縦に読む 全体像がつかめる
高3・夏 通史1周完了。アジアも飛ばさない 全時代・全地域を通した
高3・9〜10月 10本の鎖を作る。書けない箇所を教科書で埋める 始点から終点まで言える
高3・11月 論述の演習開始。添削を受ける 型が身につく
高3・12月 過去問を年度単位で。共通テスト対策も並行 時間内に書ける
直前期 鎖のノートと誤答ノートのみ 手順が自動化されている

国公立志望なので共通テストとの両立が必要ですが、鎖を作る作業は共通テストにも直接効きます。年代整序は因果が分かっていれば年号なしで解けますし、正誤問題の「因果の逆転」も見抜けるようになります。

  • 共通する土台 — 鎖(因果の連鎖)、通史の精度、アジア史の厚み
  • 共通テスト固有 — 資料・地図・グラフの読解の型
  • 二次固有 — 字数感覚、双方向の視点
日本世界史塾での対応阪大志望の生徒には、10本の鎖を口頭で言い切れるかを毎回確認します。詰まった箇所が理解の穴であり、そこが本番で飛ばしてしまう箇所だからです。担任講師が鎖の抜けを指摘し、教科書のどこに戻るべきかを示します。体験授業(3,300円・税込)では、1本の鎖を実際に言っていただき、どこが抜けているかを診断します。
この記事の一問一答(確認テスト)
Q1. 阪大の世界史で特徴的な設問のタイプは。
A. 一つのテーマを長い時間軸で追わせる論述
Q2. 長期の変化を書くために必要な準備は。
A. 出来事を矢印でつないだ「鎖」を作ること
Q3. 唐の律令体制の崩壊の鎖を、均田制から始めて3段階述べよ。
A. 均田制の崩壊→農民の逃亡で租庸調が破綻→両税法へ
Q4. 中世ヨーロッパで黒死病が果たした役割は。
A. 人口が激減して労働力が不足し、農民の地位が向上して荘園制の解体が進んだ
Q5. 地域間の関係を問われたときの型は。
A. 一方が他方に何をもたらしたかを双方向で書く
Q6. 阪大の答案に必ず置きたい一文の形は。
A. 「◯◯にとっては〜であったが、△△にとっては〜であった」

よくある質問

阪大の世界史は難しい知識が必要ですか?
知識は教科書レベルです。難しいのは長い時間軸を途中を飛ばさずにつなぐ構成力です。知識を増やすより、鎖を作る作業に時間を使ってください。
「鎖」はいくつ作ればいいですか?
10本を目安にしてください。この記事に挙げた10テーマを押さえれば、長期論述の大半に対応できます。本番では鎖を設問の時期に合わせて切り出すだけです。
途中を飛ばしてしまいます。
鎖を口頭で言い切る練習をしてください。詰まった箇所が理解の穴であり、そこが本番で飛ばす箇所です。書くより口の方が回数をこなせます。
共通テストとの両立はできますか?
できます。鎖を作る作業は共通テストにも直接効きます。年代整序は因果が分かれば年号なしで解けますし、正誤問題の「因果の逆転」も見抜けるようになります。
この記事について

世界史専門オンライン塾「日本世界史塾」の編集部が、入試での問われ方を基準に作成しています。当塾では次の講師が指導にあたっています。

藤原 進之介日本世界史塾 代表/株式会社数強塾 代表数強塾グループ創業者。東進最年少講師、代々木ゼミナールの日本初となる情報Ⅰ講師を務め、著書は9冊。累計2,500名以上の指導と、40名を超えるプロ講師体制を築いた。
伊藤 敏代々木ゼミナール世界史講師/数強塾グループの映像授業を担当筑波大学・同大学院修士課程修了。ダイヤモンド・オンラインで「カリスマ世界史講師が教える誰も知らない本当の世界史」を連載。「キャラクターがいて、ストーリーがある。それが歴史」を掲げ、通説を多様な視点から捉え直す授業を行う。

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