五・四運動と国共合作とは?中国革命はなぜ二重構造になったのか

五・四運動と国共合作とは?中国革命はなぜ二重構造になったのか
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辛亥革命で清は倒れました。しかし中国は統一されず、軍閥が割拠し、列強の権益もそのままでした。「革命が終わっていない」——この状態から、国民党と共産党という2つの革命勢力が生まれ、協力と決裂を繰り返します。この二重構造こそが、20世紀の中国を決めました。

辛亥革命の後 — なぜ革命が完成しなかったのか

一言でいうと1919年5月4日、北京の学生を中心に始まった反帝国主義・反軍閥の運動。パリ講和会議での山東の権益の扱いに抗議したもので、以後の中国の民族運動と思想の転換点となった。
  1. 辛亥革命により清は倒れ、中華民国が成立した。臨時大総統は孫文であった。
  2. しかし実権は袁世凱に移り、袁は帝政の復活を図って失敗した。
  3. 袁の死後、各地の軍閥が割拠し、統一政権が存在しない状態になった。
  4. 第一次世界大戦中、日本は二十一カ条の要求を突きつけ、ドイツの山東権益の継承などを求めた。
  5. 大戦後のパリ講和会議で、中国はこの権益の返還を求めたが認められなかった。
  6. 1919年5月4日、北京大学の学生を中心に抗議運動が起き、全国的な運動へ広がった。
「民族自決への失望」ウィルソンの十四カ条は民族自決を掲げていました。それを信じた中国が裏切られた——この失望が五・四運動の原動力です。「戦勝国の側にいたのに権益を回収できなかった」という点が重要で、朝鮮の独立運動・インドの反英運動と同時期に起きているのも同じ理由です。
新文化運動との関係五・四運動の思想的な下地は新文化運動にあります。陳独秀の雑誌『新青年』が民主と科学を掲げ、胡適白話(口語)文学を提唱し、魯迅が旧社会を批判する作品を書きました。「思想の運動が先にあり、政治的な事件で爆発した」という順序で理解してください。

2つの党の成立 — 出発点が違う

中国国民党 中国共産党
前身・成立 孫文の革命運動の系譜 ロシア革命の影響を受け、陳独秀らが結成
支持基盤 都市の商工業者・地主層 労働者、のちに農民
理念 三民主義(民族・民権・民生) 階級闘争と社会主義
外部との関係 当初はソ連の援助を受ける コミンテルンの指導
軍事 黄埔軍官学校で幹部を養成 農村での根拠地建設へ
  1. ロシア革命の成功が、中国の知識人にもう一つの近代化の道を示した。
  2. 1921年、中国共産党が結成された。
  3. 孫文は「連ソ・容共・扶助工農」の方針を掲げ、共産党員が個人の資格で国民党に入党する形をとった。
  4. 1924年、第1次国共合作が成立した。
  5. 共通の敵は軍閥と帝国主義であった。
  6. 黄埔軍官学校が設立され、校長に蔣介石が就いた。
「合作の条件」を書く思想が正反対の2党がなぜ組めたのか——「軍閥の打倒と列強の権益回収という、当面の目標が一致していたから」です。逆に言えば、その目標が達成に近づいた瞬間に決裂する「共通の敵がある間だけ続く同盟」という構図で押さえてください。日本世界史塾では、この点を国共関係の全体を貫く原理として教えています。
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合作と決裂の繰り返し

  1. 孫文の死後、蔣介石北伐を開始し、軍閥の打倒を進めた。
  2. しかし北伐の途上、上海クーデタにより蔣介石が共産党を弾圧し、第1次国共合作は崩壊した。
  3. 蔣介石は南京国民政府を樹立し、北伐を完成させて一応の統一を果たした。
  4. 共産党は農村へ移り、毛沢東らが根拠地を築いた。
  5. 国民党の攻撃を受け、共産党は長征により拠点を西北へ移した。
  6. 1931年の満州事変以降、日本の侵略が本格化した。
  7. 西安事件を機に、抗日を優先すべきという声が高まり、第2次国共合作が成立した。
  8. 日中戦争が終わると再び内戦となり、共産党が勝利して1949年に中華人民共和国が成立した。
第1次国共合作 第2次国共合作
時期 1924年〜 1937年〜
共通の敵 軍閥と帝国主義 日本の侵略
きっかけ 孫文の方針転換 西安事件
崩壊の理由 上海クーデタ 日中戦争の終結により共通の敵が消滅
「なぜ共産党が勝ったのか」①農村で土地改革を進め、農民の支持を得た ②抗日戦で民族的な正統性を獲得した ③国民党政府は腐敗とインフレで支持を失った「都市を基盤とした党と、農村を基盤とした党の差」として書くと明快です。毛沢東の路線が、都市労働者中心というマルクス主義の原則から離れて農民を主力とした点も重要な論点です。
西安事件は必出共産党の討伐を優先しようとした蔣介石が、部下によって監禁され、抗日を優先するよう説得された事件です。「内戦より抗日を」という世論が、党の方針を変えた——民族運動が階級闘争に優先した瞬間として押さえてください。

同時代のアジア — 三つの運動を並べる

地域 運動 特徴
中国 五・四運動(1919) パリ講和会議への抗議から反帝国主義・反軍閥へ
朝鮮 三・一独立運動(1919) 民族自決に触発された独立宣言と大規模な運動
インド ガンディーの非暴力・不服従 戦時の協力に対する自治の約束が果たされず
トルコ ケマルの抵抗運動 敗戦後の過酷な条約に反発し、共和国を樹立
  1. いずれも第一次世界大戦の直後に集中している。
  2. 共通の背景は①総力戦での動員に対する見返りの要求 ②民族自決という原則への期待と、その裏切り ③ロシア革命による新しい思想の伝播である。
  3. 「大戦がアジアの民族運動を一斉に押し上げた」という枠組みで整理できる。
1919年という年五・四運動・三・一独立運動・パリ講和会議・インドの反英運動——すべて1919年です。「1919年はアジアの民族運動の年」として一括して覚えると、現代史の入口が一気に開けます。共通テストの年代整序でも強力です。

入試で狙われるポイント総覧

  • 背景=二十一カ条の要求パリ講和会議での山東権益の扱い
  • 思想的な下地=新文化運動陳独秀『新青年』胡適の白話文学魯迅
  • 1921年に中国共産党が結成(陳独秀ら)
  • 孫文の方針=連ソ・容共・扶助工農第1次国共合作(1924年)
  • 黄埔軍官学校の校長は蔣介石
  • 北伐の途上で上海クーデタ→合作崩壊→南京国民政府
  • 共産党は長征で西北へ、指導者は毛沢東
  • 西安事件第2次国共合作→抗日
  • 1949年中華人民共和国成立
共通テストでの出方「五・四運動は日本の二十一カ条の要求に対してのみ起きた」は不正確(パリ講和会議での山東権益の扱いが直接の契機)。「第1次国共合作は日中戦争を機に成立した」も誤り(第2次)。「共産党は一貫して都市の労働者を基盤とした」も誤り(農村へ移った)。2つの合作の混同が最頻出です。
この記事の一問一答(確認テスト)
Q1. 五・四運動の直接の契機となった国際会議は。
A. パリ講和会議
Q2. 新文化運動で『新青年』を刊行した人物と、白話文学を提唱した人物を答えよ。
A. 陳独秀と胡適
Q3. 孫文が第1次国共合作にあたって掲げた方針を答えよ。
A. 連ソ・容共・扶助工農
Q4. 第1次国共合作が崩壊するきっかけとなった事件は。
A. 上海クーデタ
Q5. 共産党が拠点を西北へ移した移動を何というか。
A. 長征
Q6. 第2次国共合作のきっかけとなった事件は。
A. 西安事件

よくある質問

なぜ辛亥革命では革命が完成しなかったのですか?
実権が袁世凱に移り、その死後は軍閥が割拠して統一政権が存在しなくなったためです。列強の権益もそのまま残り、「革命が終わっていない」状態が続きました。
思想が正反対の2党がなぜ協力できたのですか?
軍閥の打倒と列強の権益回収という当面の目標が一致していたからです。逆に言えば、共通の敵が消えた瞬間に決裂します。第1次は北伐の途上で、第2次は日中戦争の終結後に崩れました。
なぜ共産党が勝利したのですか?
農村で土地改革を進めて農民の支持を得たこと、抗日戦で民族的な正統性を獲得したこと、国民党政府が腐敗とインフレで支持を失ったことが理由です。
1919年はなぜ重要な年なのですか?
五・四運動・三・一独立運動・パリ講和会議・インドの反英運動がすべてこの年だからです。総力戦での動員、民族自決への期待と裏切り、ロシア革命の影響が重なりました。
この記事について

世界史専門オンライン塾「日本世界史塾」の編集部が、入試での問われ方を基準に作成しています。当塾では次の講師が指導にあたっています。

藤原 進之介日本世界史塾 代表/株式会社数強塾 代表数強塾グループ創業者。東進最年少講師、代々木ゼミナールの日本初となる情報Ⅰ講師を務め、著書は9冊。累計2,500名以上の指導と、40名を超えるプロ講師体制を築いた。
伊藤 敏代々木ゼミナール世界史講師/数強塾グループの映像授業を担当筑波大学・同大学院修士課程修了。ダイヤモンド・オンラインで「カリスマ世界史講師が教える誰も知らない本当の世界史」を連載。「キャラクターがいて、ストーリーがある。それが歴史」を掲げ、通説を多様な視点から捉え直す授業を行う。

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