世界史が覚えられない|原因別の対処法を専門塾が回答

「何度やっても世界史が覚えられない」——この相談を、私たちは毎週のように受けます。そしてほぼ全員が、努力不足ではなく方法の問題です。原因は5つに分類でき、それぞれ対処法が違います。まず自分がどれに当てはまるかを見極めてください。
まず診断:あなたはどのタイプか
白紙を1枚用意して、「フランス革命の流れ」を3分で書き出してみてください。その結果で原因が分かります。
| 結果 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| ほとんど何も出てこない | ① 流れが入っていない | 用語暗記をやめ、通史のインプットに戻る |
| 単語は出るがつながらない | ② 因果でつないでいない | 「なぜ」を3回問う読み方に変える |
| 書けるが自信がない・日によってムラ | ③ 復習の間隔が悪い | 翌日・1週間後・1か月後の3回転に固定 |
| 読めば分かるが書けない | ④ インプット偏重 | 白紙復元(アウトプット)中心に切り替える |
| 覚えたのに模試で出てこない | ⑤ 引き出しの作り方が悪い | 問題形式でのアウトプットを増やす |
原因① 流れが入っていない
最も多い原因です。一問一答や用語集から始めてしまった人がここに当てはまります。
世界史の用語は、それ単独では意味を持ちません。「両税法」という4文字を覚えようとしても、記憶に引っかかる場所がないため、翌日には消えます。しかし「均田制が崩れて人を把握できなくなったから、土地と資産に課税する両税法に変えた」という流れの中に置けば、忘れにくくなります。
- 一問一答をいったん閉じる。
- 講義系参考書か映像授業で、1つの地域を通しで読む(中国史なら殷から清まで)。
- 読み終えたら、その地域の流れを白紙に矢印で書き出す。
- 書けなかった部分だけ確認して赤で追記する。
- この工程が終わってから、初めて一問一答に戻る。
回り道に見えますが、これが最短です。流れという受け皿ができると、同じ一問一答でも定着率がまったく変わります。
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原因② 因果でつないでいない/③ 復習の間隔が悪い
② 「なぜ」を3回問う
教科書を読むとき、出来事の間に「だから」を入れられるか確認してください。入れられない箇所が、あなたの穴です。
- 七年戦争でイギリスが財政難 → だから植民地に課税 → だからアメリカ独立革命
- アメリカ独立を支援してフランスが財政難 → だから三部会を招集 → だからフランス革命
- 均田制が崩壊 → だから府兵制が破綻 → だから募兵制と節度使 → だから安史の乱
この「だから」でつないだ鎖は、1つ思い出せば全部つながって出てきます。用語を10個バラバラに覚えるより、鎖を1本作る方が速く、しかも論述でそのまま使えます。
③ 忘れかけたときに思い出す
記憶は忘れかけたタイミングで思い出すと定着します。毎日同じ範囲を眺めるのは効率が悪く、逆に1か月放置すると完全に消えます。
| 回 | タイミング | やること |
|---|---|---|
| 1回目 | 翌日 | 白紙復元。書けなかった箇所を赤で追記 |
| 2回目 | 1週間後 | 一問一答で×だけ確認 |
| 3回目 | 1か月後 | 地域を通しで白紙復元し、他地域と横につなぐ |
| 4回目 | 模試の前後 | 実戦形式で引き出せるか確認 |
原因④ インプット偏重/⑤ 引き出しが作れていない
④ 読むのをやめて、書き出す
「参考書を5周した」という人が伸びないのは、読む(インプット)ばかりでアウトプットしていないからです。読んでいる最中は「分かっている」と感じますが、それは目の前に答えがあるからにすぎません。
- テキストを閉じる。
- 白紙に年表・地図・因果の矢印を自力で書き出す(10分)。
- 書けなかった部分だけテキストで確認し、赤で追記。
- 翌日、同じことをもう一度やる。
⑤ 問題の形で引き出す練習をする
「覚えたのに模試で出てこない」のは、覚えた形と問われる形が違うからです。用語→意味の順で覚えたのに、入試では意味→用語や、正誤判定の形で問われます。
- 一問一答を逆からやる(答えを見て問題を言う)
- 正誤問題を解いたら、誤りの箇所を一言で言語化する(「時代がズレている」など)
- 白紙に自分で問題を作ってみる(出題者の視点に立つと、狙われる箇所が見える)
それでも覚えられないときに考えること
方法を変えても改善しない場合、次の可能性があります。
- そもそも学習量が足りていない — 世界史は範囲が広く、1日10分では通史が終わりません。1日最低30〜60分は確保してください。
- 他科目に押されて世界史を毎日触っていない — 週末にまとめて3時間より、毎日30分の方が定着します。
- 睡眠不足 — 記憶の定着は睡眠中に起こります。徹夜での暗記は最も効率が悪い方法です。
- 教材が合っていない — 難しすぎる参考書で挫折しているケースは多いです。まず薄い本を1冊終える方が結果が出ます。
- 自己流の方法から抜け出せていない — 「自分はこのやり方でやってきた」という固執が、最大の障害になることがあります。
とくに5つ目が厄介です。自分の勉強法の問題点は、自分では見えません。だからこそ、第三者に一度見てもらう価値があります。
- Q1. 世界史が覚えられない原因を5つ挙げよ。
- A. 流れが入っていない・因果でつないでいない・復習の間隔が悪い・インプット偏重・引き出しが作れていない
- Q2. 自分の原因を診断する方法は。
- A. 白紙に特定のテーマの流れを3分で書き出してみる
- Q3. 流れが入っていない人がまずやめるべきことは。
- A. 一問一答や用語集から始めること
- Q4. 復習の3回転のタイミングを答えよ。
- A. 翌日・1週間後・1か月後
- Q5. テキストを閉じて白紙に書き出す復習法を何というか。
- A. 白紙復元
- Q6. 「覚えたのに模試で出てこない」原因は何か。
- A. 覚えた形と問われる形が違うこと
よくある質問
- どのくらいやれば覚えられるようになりますか?
- 通史を1周するのに1日60分で約3〜4か月が目安です。ただし1周で覚えきる必要はありません。3周する前提で計画を立ててください。
- カタカナの人名がどうしても覚えられません。
- 人名単独ではなく「誰が・何のために・何をしたか」の一文で覚えてください。同名の王が多い場合は、必ず王朝名とセットにすると混同しません。
- 寝る前と朝、どちらが暗記に向いていますか?
- 寝る前に覚え、翌朝に思い出すのが効率的です。記憶は睡眠中に整理されるため、朝の白紙復元は定着の確認としても機能します。
- 世界史を諦めて日本史に変えるべきでしょうか?
- やり方を変えていない段階での科目変更は勧めません。科目を変えても同じ方法なら同じ結果になります。まず上の①〜⑤のどれが原因かを特定し、方法を変えてから判断してください。
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