日本世界史塾編集部/2026年10月10日作成

資料読解は、用語を思い出す前に「資料から何が言えるか」を確かめる練習です。題名・年代・地域・単位を確認し、選択肢のどの部分を裏付けられるか説明します。このページでは、統計、出来事の順序、文章の立場を3問で練習します。

大学入試センターの令和9年度問題作成方針(地理歴史)は、深い理解を伴う知識と資料の情報を関連付けて考察する問題を示しています。以下の手順は日本世界史塾編集部の学習提案です。

読む前に決める4手順

  1. 問いを読む:正しい説明か、誤っている説明か。年代・場所・原因のどれを問われているかを確かめます。
  2. 資料の枠を確認する:題名、対象期間、地域、単位、凡例、作成者を読みます。輸出「額」と輸出「量」のような違いを省略しません。
  3. 読み取れる事実を書く:増えた、減った、何倍になった、ある出来事より前である、という資料に直接対応する文を作ります。
  4. 知識と照合する:資料だけで決まる部分と、教科書の知識が必要な部分を分けます。資料にない原因を足していないか、選択肢の一節ずつ確認します。

例題1:統計から原因まで言い切れるか

当塾オリジナル問題。表は、読み方を練習するために作成した架空の地域Aの輸出量です。実際の歴史統計ではありません。基準年の輸出量を100とした指数を示しています。

地域Aの輸出量指数(架空)
年輸出量指数
1890100
1895150
1900200

問:この表だけから言えることを一つ選びなさい。

  1. 1900年の輸出量は1890年の2倍である。
  2. 1900年の輸出額は1890年の2倍である。
  3. 1890〜1900年に地域Aの総生産は2倍になった。
  4. 関税の引下げだけが輸出量増加の原因である。
解答と解説

正解:1。200÷100=2なので、輸出量は基準年の2倍です。2は「量」を「額」に置き換えています。価格が示されていないため額の変化は判断できません。3は輸出以外を含む総生産へ対象を広げています。4は表にない政策と原因を追加しています。

復習メモ:単位の置換、対象の拡大、原因の追加を分けて記録します。「輸出が増えた」だけでは、資料が示す範囲を説明しきれていません。

例題2:与えられた年代から範囲を絞る

当塾オリジナル問題。次の年表と文章を読み、Xの時期を選びなさい。

問題で用いる出来事
年出来事
1914第一次世界大戦が始まる
1918第一次世界大戦が終わる
1920国際連盟が発足する

文章X:「第一次世界大戦は終わったが、国際連盟はまだ発足していない。」

  1. 1914年より前
  2. 1914年の開戦後、1918年の終戦前
  3. 1918年の終戦後、1920年の国際連盟発足前
  4. 1920年の国際連盟発足後
解答と解説

正解:3。「終わった」が下限、「まだ発足していない」が上限になります。知っている用語の印象だけで決めず、二つの条件を同時に満たす範囲を探します。

発展:実際の問題では年表がない場合もあります。その場合は背景知識で出来事を置き、同じ手順で前後関係を検証します。年号と順序の両方を確認する練習にしてください。

例題3:史料の主張と実際の制度を分ける

当塾オリジナル問題。以下は改革を求める人物の立場を読むための架空の文章です。実在する史料の引用ではありません。

現在の議会には、私たち工場で働く者の声が十分に届かない。財産の有無にかかわらず政治に参加できる仕組みを求めたい。

問:文章から直接読み取れる説明を一つ選びなさい。

  1. 筆者は工場労働者の政治参加の拡大を求めている。
  2. この国ではすでにすべての人に選挙権が与えられている。
  3. この文章が発表された翌年に普通選挙が実現した。
  4. 筆者は議会を廃止することを明示している。
解答と解説

正解:1。「工場で働く者の声」「財産の有無にかかわらず」が根拠です。2は要求と実現済みの制度を混同しています。3は文章にない後の出来事、4は述べられていない主張を足しています。

歴史学習につなぐ:19世紀のイギリスの選挙法改正やチャーティスト運動を復習するときは、誰が要求し、誰の参加が認められ、誰が除外されたかを整理します。この架空文を実際の運動の史料と取り違えないようにしましょう。

解いた後に残すのは「根拠の場所」

欄記入例
見落とし輸出量を輸出額として読んだ
根拠表の題名が「輸出量指数」
次の操作解き始めに資料の単位を囲む
解き直しの確認他の選択肢が誤りである理由も説明できたか

正答の番号だけを写すと、同じ読み違いが残ります。資料のどこを根拠にしたかを一行で記録してください。数強塾の誤答ノートの記入例も使えます。

基礎練習の後は、大学入試センターの公式試作問題『歴史総合,世界史探究』へ進み、出典のある実際の資料と背景知識を結び付ける練習をします。本ページの架空資料だけで本番対策を完結させないようにしてください。

社学志望者が使うときの注意

早稲田社会科学部で世界史を使う場所は共通テストです。旧制度の独自世界史とは分けて学習します。2027年度の世界史利用と2025年度からの変更を先に確認してください。

参考:大学入試センターの令和9年度出題方法・問題作成方針、公式試作問題。確認日:2026年10月10日。例題・解説・復習手順は日本世界史塾編集部作成。

編集・学習相談

日本世界史塾編集部が作成。掲載した練習問題は当塾オリジナルです。講師の担当・経歴は講師紹介、受講相談はお問い合わせをご覧ください。

資料読解3問の次に、読み方を広げる

統計・年代・文章の基礎を確かめたら、計算・出典・比較のどこにつまずいたかで教材を選びます。

指数と増加率を計算する

基準年、分母、指数と実量の違いを確認します。

数強塾:指数・増加率の練習

出典を比較する

同じ対象・時点・資料の種類を見て、根拠をそろえます。

日本世界史塾:史料比較4問

年代と文書の段階を検算する

範囲を絞ったあと、基本5問+史料3問で具体的な順序を確かめます。基本では署名と発効・紀元前の順序を練習。史料では独立宣言・パリ条約・憲法を読み、採択・署名・批准、期限と実施日を区別します。

数強塾:基本の並べ替え5問数強塾:宣言・批准の史料3問